よくあるご相談
1.すべての財産を姉にまかせると記載された遺言は有効?
- 遺産
- 遺留分
母が亡くなりました。相続人は私と姉の2人です。母が書いた自筆の遺言があります。裁判所で検認をしてもらいましたが、遺言書には「すべての財産をA(姉)にまかせる」と書いてあります。私には一円もあげないという趣旨の一文もあります。「まかせる」というのは贈与するという意味とは違うので、この遺言は無効なのではないのでしょうか?それとも私は一円ももらえないのでしょうか?
2.弁護士からの回答
①遺言の有効性について
遺言の解釈が問題になった事案において、最高裁は、「遺言の解釈に当たっては、遺言書の文言を形式的に判断するだけでなく、遺言者の真意を探求するべきものであり、(中略)遺言書の全記載との関連、遺言書作成当時の事情及び遺言者の置かれていた状況などを考慮して遺言者の真意を探求し当該条項の趣旨を確定すべきである」(最判昭和58年3月18日家月36巻3号143頁)と判示しました。
そして、「まかせる」の解釈が問題になった事案について、高等裁判所が「被相続人の遺産全部をAに包括遺贈する趣旨のものであると理解するのが相当」と判示したことがあります(大阪高判平成25年9月5日判例時報2204号39頁)。包括遺贈とは、車や自宅不動産などの個別の財産を特定しないで、財産の全部やその取得割合を示して行う遺贈です。本件の遺言書では、「一円もあげないという趣旨の一文もある」ようですので、本件の遺言は、相続財産はすべてA(姉)に遺贈するという遺言として有効であると考えられます。
②遺留分侵害額請求ができること
しかし遺言が遺留分を侵害する場合は遺留分を請求できます。遺留分とは、遺言によっても奪えない最低限の遺産の取り分のことです。ご相談者様には、遺留分を侵害されていることや遺留分侵害額請求の流れなどをお伝えしました。
ご相談のように「遺留分侵害額請求」の相談を多くいただきます。弁護士法人シーライトでは、「すべて兄に相続させる」と記載されていた公正証書遺言の事案で、遺留分侵害額の全額を認めさせた実績があります。お気軽にご相談下さい。
代表弁護士 阿部 貴之
神奈川県弁護士会所属。弁護士登録後、都内総合法律事務所、東京都庁労働局等を経て、平成27年に弁護士法人シーライトを開設。以来相続トラブルの相談実績は400件を超える。「依頼者の良き伴走者となるために」をモットーに、スタッフと共に事件解決へ向かって邁進中。好きな言葉は「二人三脚」「誠心誠意」。弁護士紹介4.類似事案の当事務所解決事例
弁護士法人シーライトには、納得できない遺言に対し、遺留分侵害額の満額が提示後一か月で支払われ、スピード解決した事例があります。詳しくはこちらをご覧下さい。相続に関して当事務所にご相談されたい方は、お電話もしくは、お問い合わせページよりご連絡ください。