遺産分割問題をめぐる訴訟
相続が発生してから相続人の間で遺産分割協議がまとまらない場合、家庭裁判所に調停を申し立てます。もし、調停がまとまらない場合には、審判に移行し、裁判官が審判を行います。
しかし、遺産分割協議を行うにあたっての前提事項、例えば、相続人の範囲、遺産の範囲、遺言書の有効・無効などで主張が対立している時には、家庭裁判所に調停や審判を申し立てるのではなく、民事訴訟や人事訴訟を申し立てて、判決を求めることが先決となります。
相続に関する訴訟
相続に関する訴訟として多いのは、以下のような訴訟です。
1.養子縁組無効確認訴訟
相続人の範囲を争う訴訟としての養子縁組無効確認訴訟は、家庭裁判所の人事訴訟になります。
2.遺産確認訴訟、不当利得返還請求訴訟
遺産の範囲を争う訴訟としての遺産確認訴訟(被相続人の名義ではないが遺産に含まれる、と訴える訴訟)や不当利得返還請求訴訟(生前に遺産の使い込みがあったとして、相続人の一人を訴える訴訟)は、地方裁判所の民事訴訟です。
3.遺言無効確認訴訟
遺言書の効力を争う訴訟としての遺言無効確認訴訟(遺言の要件不備、本人の意思に基づかないので無効だと訴える訴訟)は、地方裁判所の民事訴訟です
この他にも、事実関係を争う訴訟として、所有権確認訴訟(当該財産が、相続財産ではなく、自己の固有の財産であるということを主張する訴訟)、共有持分権確認訴訟(当該財産に、自分も共有持分を有しているということを主張する訴訟)があります。
遺産分割をめぐる訴訟については弁護士にご相談ください
訴訟を提起するかどうかの判断は、相続の全体像の中で、訴訟の結果などを想定して行う必要があります。
過去の裁判例からみて、時として、訴訟を提起しても求める判断を裁判所からもらえる可能性が低い場合、早期解決のために民事訴訟を提起するのではなく、調停を申し立てた方がいい、という場合もあります。
遺産分割の訴訟の流れや、訴訟になった場合の可能性などについては、事前に弁護士にご相談ください。