特別縁故者
特別縁故者とは
ある新聞に以下のような質問が載っておりました。
「私は長きにわたり事実婚として戸籍上の婚姻はせず、夫と生活を共にして来ました。しかし、夫が亡くなった場合、事実婚では相続人になれないと聞きました。それは本当でしょうか」
「日本では価値観の多様化、非正規雇用の拡大、そして出会いの場の減少などによって非婚化、晩婚化、そして少子化がますます進んでいます。「結婚へのハードルが高すぎると感じる若者が多いこと」が背景にあるのではないかという議論も行われ、「結婚へのハードル」を解消する策として事実婚を推奨しようという機運も高まっているようです。」(2015/6/26日経新聞)とあるように、事実婚は増加傾向にあるようです。
さて、先の質問に対しての一般的な回答は、
事実婚は法的な婚姻でないため、内縁関係の配偶者は法定相続人になれない。法定の婚姻をせず、事実婚のままで確実に財産を承継させたいのであれば、「自分の財産はすべて内縁関係にある〇〇に遺贈する」と言った内容の記載が必要ということになります。
特別縁故者に対する相続財産分与
しかし、内縁の配偶者が全く相続に関与しえないというわけではなく、一定の場合には財産の承継等が認められる場合があります。
具体的には、相続人が誰もいない場合(家庭裁判所の相続人を捜索するための公告で定められた期間内に相続人である権利を主張する者がなかった場合)、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者など、被相続人と「特別の縁故」があった者がいる場合、家庭裁判所の判断により、「特別縁故者に対する相続財産分与」として、その者に相続財産の全部または一部が与えられる場合があります。
①前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。
②前項の請求は、第九百五十八条の期間の満了後三箇月以内にしなければならない。
特別縁故者による分与の手続き
特別縁故者による分与の手続きは、家庭裁判所へ申立てを行うことになりますが、申立てを行えるのは、下記の条件に当てはまる者になります。
①被相続人と生計を同じくしていた者
実際は婚姻届を提出していないものの、夫婦関係同等の生活を送っていた内縁関係や、事実上の養子関係のある者など。
②被相続人の療養看護に努めた者
被相続人の看護や介護にあたった者。ただし、業務として報酬を得ていた看護士、介護士、家政婦、付添人などは除かれる。
③その他被相続人と特別の縁故があった者
遺言は無いものの、被相続人から「自分が死んだら◯◯は譲る」と約束を受けていた者や、親同然の関係のように生前は親密な関係があった者など。
なお、申立期間は、相続人を捜索するための公告で定められた期間の満了後3か月以内で、申立先は、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所になります。その他、申立費用の発生や必要な書類等があります。
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