遺産分割と家庭裁判所の利用
遺産分割(協議)の流れ
相続は被相続人がお亡くなりになることで始まります(「相続開始」といいます)。遺言書がない場合には、相続人調査(戸籍の取寄せ)、財産調査をします。それが終わるといよいよ財産の分け方をめぐって遺産分割協議を行います。
遺産分割協議は、相続人全員が参加しますが、対面で協議する必要はありません。例えば、遠方に住んでいて顔を合わせるのが困難な場合や兄弟仲がよいとはいえない場合などは、郵便で協議をして、協議がととのえば、遺産分割協議書に署名方法で遺産分割協議をすることもできます。
遺産分割協議に特定の進め方や特定の書類の様式があるわけではありませんが、「相続人の確定」、「相続財産の確定」をしないことには、遺産分割協議が前に進みません。
「相続人は、調べなくても分かっている」と思っている人が多いかもしれません。しかし、きちんとした方法で、相続人を確定しておく必要があります。
具体的には、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を取り寄せる必要があります。
また、転籍や婚姻している場合は、転籍前、婚姻前の本籍がある市区町村役場の窓口で、「除籍謄本」を取り寄せなければなりません。
さらに、戸籍謄本がコンピュータ化されている市区町村役場では、「改正原戸籍」を取得しなければなりません。
また、代襲相続の場合には、相続人の戸籍謄本も取り寄せる必要が出てきます。
このように、被相続人の戸籍謄本、亡くなった相続人の戸籍謄本などを取得して、相続人を確定させます。
次に、相続財産を調査します。
当事務所では「相続人の確定」、「相続財産の確定」のサポートをさせていただいております。お気軽にお問い合わせください。
家庭裁判の利用
遺産分割調停
万が一、遺産分割協議が円滑に進まなければ、家庭裁判所で遺産分割調停を行います。
遺産分割調停とは、家庭裁判所に、相続人の1人又は複数人(「申立人」といいます)が、残りの相続人(「相手方」といいます)を相手に申し立てて開始される、家庭裁判所での遺産分割についての話し合いです。調停委員と呼ばれる人が、仲介者として関与する点が重要です。
なお、調停は、あくまでも裁判所を会場にした話し合いですので、相続人全員の合意がないと成立しません。
調停委員の役割は、双方の当事者から事情を聴いたり、必要に応じて資料等の提出を求めたり、遺産について鑑定を行うなどして事情を把握したうえで,各当事者がそれぞれどのような分割方法を希望しているか意向を聴取します。そして、当事者に対して、解決案を提示したり、解決のために必要な助言をしたりして、合意を目指して話合いを進めます。
調停は1回で終わることはあまりなく、日を置いて2回、3回と続きます。
調停がまとまったら、裁判所によって調停調書にその内容がまとめられ、それにもとづいて相続を行うことになります。
調停を弁護士に依頼するメリット
調停を弁護士に依頼するメリットは、調停の申し立てと調停への対応をしてくれる点です。
調停を有利に進めていくためには、いかに調停委員に納得してもらえるように、証拠を用い、主張を組み立てるか、ということが重要になります。
相続問題に詳しい弁護士が一緒にまたは代わりに出頭することで、決して感情論ではなく、法的な根拠を基に、依頼された相続人の考えを代わりに述べていくことができます。
遺産分割審判
遺産分割調停がまとまらず不成立の場合には、家庭裁判所で遺産分割審判の手続きを行います。
遺産分割審判では、調停委員ではなく、家庭裁判所裁判官が、双方の主張と証拠を踏まえた上で、遺産の分割方法について判断します。
そのため、調停の場で、弁護士がついていた相続人の主張は、きちんとした法的な根拠があるものですから、審判でも有利に働くことになるでしょう。
もし、審判に不服がある場合は、2週間以内に高等裁判所に抗告する必要があります。
弁護士法人シーライトでは、煩雑な調停手続きや審判手続きをサポート致します。お気軽にご相談ください。