解決事例
相続の発生により共有となった不動産(実家)が分割できないままになっていたところ、代償金450万円の現金一括払いで解決した事案
60代
女性
被相続人との関係 | 子 |
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主な遺産 | 不動産 |
遺言の有無 | 無 |
主な問題点 | 実家に居座られている・遺産分割 |
手続 | 協議 |
背景
相続の発生により兄との共有になっている不動産をお金で清算してもらいたい、ということでご相談にいらっしゃいました。この不動産は、もともとは、ご依頼者様と、お母様、兄、の3人で共有名義になっていたそうなのですが、10年ほど前にお母様が亡くなった際に、お母様の持ち分をそれぞれが相続し、兄妹で1/2ずつの持ち分となっていました。お母様が亡くなった際に、この機に清算したいと考えて自力で兄へ交渉を持ちかけましたが、とりあってもらえず、結局そのまま兄が住み続けているとのことでした。
1/2の権利があるとはいえ、実態は兄が住んでいるので、所有権はあるものの自由にできない名ばかりの財産を持っていることに長年悩まれていたそうで、なんとかこの状態を解消したい、と、当事務所にご依頼いただくことになりました。
主 張
①相続財産を有名無実のままにしておきたくはないので、何らかの形で解決してほしい。
②この不動産に引き続き兄が住むことは構わないので、もし兄が家を相続するのであれば代償金をもらいたい。
解決までの流れ
まずは、土地建物の価値がどれくらいあるかの調査を行いました。具体的には、「固定資産評価証明書」の取り付けや、不動産会社への査定依頼などです。また並行して、法定相続情報一覧図の作成も進めました。
この土地建物について調査を進めていくと、登記上の地目(※不動産登記法で定められた土地の用途のこと。全部で23種類ある。)が、「宅地」の部分と「畑」の部分の両方にまたがって家が建っていたことがわかりました。通常、地目が「畑」の土地に家を建てるには、農地転用の手続が必要ですが、どういうわけか、「畑」部分にもまたがってしまっていました。そのため、査定金額にはばらつきが出ていましたし、査定不可と回答してきた不動産会社もありました。
ご依頼者様にこういったケースについての見通しをご説明した上で、「調査結果によるとこれくらいの金額を請求できそうですよ」「どういう方針で進めましょうか」といった打ち合わせを行いました。
お打ち合わせの結果、査定額にばらつきがありましたが、兄には、「査定結果を平均すると約1500万円の価値がある土地なので、約750万円で共有持ち分を買い取ってほしい」と提案することにしました。そして、「もし提案を呑んでくれない場合には、不動産会社にご依頼者様の持ち分を買い取ってもらうか、訴訟をするしかなくなるが、もし買い取る気があるなら、金額については交渉に応じる」と伝えました。すると、400万円なら買い取れる旨の回答がきました。そのため、A案「500万円で分割払い」もしくは、B案「450万円で現金一括払い」での解決を提案しました。
相続に関して当事務所にご相談されたい方は、お電話もしくは、お問い合わせページよりご連絡ください。
結果
交渉を進めた結果、450万円での現金一括払いで合意が成立し、兄からその支払いを受けて、解決となりました。
交渉前 | 当事務所へ依頼後 | |
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膠着状態のため0万円 | → | 現金450万円 |
担当弁護士の所感
ご依頼者様としては、名ばかり権利者のような状態で権利関係が宙ぶらりんであることに長年モヤモヤしていたそうです。子供の頃からずっと長男優先で色々と我慢してきたのに、母が死んで10年経ってもまだモヤモヤが続いているので、いくらかでもお金という形にしてこのモヤモヤを解消したい、とのことでした。もしいいかげんなままにしておけば自分の子供にも迷惑かけてしまうので今のうちに解決しておきたい、生きているうちに相続財産をお金に変えて残りの人生を少しでも豊かなものにしたい、というご要望を伺っておりましたので、素早く確実な解決を目指しました。
話し合いのできるような兄妹仲ではなかったため、弁護士が間に入ることでスムーズに解決に導けた案件だと自負しております。スピードとしても、ご依頼いただいてから5ヶ月程度でお客様の口座に解決金をお届けすることができ、かなりの早期解決となりました。解決後は、名義だけ不動産がキャッシュに変ったことで、長年悩んでもやもやしていた気持ちがすっきりと晴れたとお喜びいただきました。
こうしてまとめてみますと、長子(長男)が優先されているというところも含めて、日本の典型的な相続案件だったように思います。共同で相続した不動産をお金で精算したいとお悩みの場合、弁護士にご相談いただくと、案外スムーズに解決できることがあります。本件の場合、約10年間のお悩みが、半年もかからずに解決しています。まずは専門家へご相談ください。