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遺言書が残されていない場合の遺産分割方法の流れや注意点について解説!

遺言がない時の注意 イメージ

遺言書が見つからない場合に、「遺産を誰にどれだけ分配すればよいのか、わからない」という方も多いのではないでしょうか。また、遺留分の確認や遺産の分配方法についても、知識がないと余計なトラブルに発展してしまう可能性があります。そこでこの記事では、遺言書がない場合の遺産分割協議や遺産の分配方法について、詳しく解説します。


目次

遺産分割と相続の違いについて

遺産分割と相続は混同されやすく、一見同じだと思われるかもしれませんが、法律上では扱いや定義が異なります。具体的には、「遺産分割」は故人の財産を相続人で分け合う行為を指し、「相続」は故人の財産を受け継ぐ行為を指します。

そのため、財産分割で故人の遺産を分けて、分けた取り分を受け継ぐために相続するといった流れなので、どちらかだけをするのではなく遺産相続の流れとしてどちらも行う行為だと言えます。

また、遺産分割で財産を分け合うまでは、相続人全員の共有財産になるため、誰かが勝手に使用や売却をしてはいけません。むしろ遺産分割が終わって相続が完了するまでは、相続人が確定していない状態であるため、自由に扱えないケースが多いです。

遺産分割のやり方

遺産分割は、相続人が各々勝手にやってよい訳ではなく、遺言書の有無や相続人全員の話し合いによって決められます。具体的な手順は下記のとおりです。

遺言書が残されているか確認する

まずは、遺言書が残されているか確認してください。遺言書には、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言があり、保管場所がそれぞれ異なります。例えば、自筆証書遺言は、故人が好きな場所に保管でき、公正証書遺言は、公正役場に保管されています。

公正役場とは、法務省が管轄している役所です。市役所などの役場と勘違いされる場合がありますが、別の機関なので詳しい場所はお住まいの地域で検索してください。平成元年以降に遺言書を公正役場に保管していれば、全国どこの公正役場からでも検索可能です。

遺言書の有無を公正役場で確認するには、故人が亡くなったことを証明する「除籍謄本」、故人と相続関係にあることを証明する「戸籍謄本」、本人確認のための「身分証明書」の3つの書類が必要です。

ただし、自筆証書遺言の場合は、保管場所が故人によって異なるため、自分で探さなければなりません。自宅に保管している場合は金庫や仏壇の引き出しなどの可能性や、自宅以外でも銀行の貸金庫や弁護士に預けている可能性もあるため、よく確認しないと見逃してしまいます。

遺言書をよく探さないまま、遺産分割協議をしてしまい、後から遺言書が見つかると相続人同士のトラブルになりやすいため、公正役場に遺言書がない場合は、念入りに探した方がよいでしょう。

遺言書がない場合は遺産分割協議をする

遺言書が見つからなかった場合は、遺産分割協議をする必要があります。遺産分割協議とは、相続人全員で、どの遺産を誰が相続するのかを、話し合いで決める手続です。

遺産分割協議を行うためには、相続人全員が参加しなければなりません。ただし、相続人が未成年の場合は、代理人をたてる必要があります。

また、遺言書が見つかった場合でも、相続人全員の合意があれば遺言書の内容と異なる遺産分割協議が可能です。

遺産分割協議は、相続人だけで話し合うのも可能ですが、可能であれば弁護士に間に入ってもらうのがおすすめです。遺産分割協議はトラブルになりやすく意見が対立しやすいためです。また、後述する遺産分割協議書の作成も依頼できます。

遺産分割協議には期限がありませんが、相続を知った翌日から10ヵ月後に「相続税申告」を行わなければならないため、早めに行った方がよいでしょう。

遺産分割協議書を作成する

話し合いがまとまったら、遺産分割協議書として書面にまとめます。遺産分割協議書は、相続人全員が内容に合意した証明書でもあるため、後のトラブルも回避できます。また、不動産の名義変更や、土地などの不動産の登記手続きの際に提出を求められるので、必ず作成してください。

遺産分割協議書には決められた書式はありません。縦書きや横書きなど問わずパソコンでの制作も問題ありません。しかし、多くの相続手続き(所有権移転登記など)では相続人全員の直筆の署名と押印(実印)が必要なので、注意してください。

また、遺産分割協議書の作成は、弁護士や行政書士などの士業に依頼するのが、おすすめです。特に弁護士であれば、相続人同士のトラブルになった際にあなた自身の代理人となってもらえます。法律の専門家なので、わかりづらい言い回しや曖昧な表現で書類に記すことがないため、後からトラブルになりづらいです。

遺産分割の方法

土地や株式などの財産は、現金と異なり簡単には分割できないケースがあります。簡単に分割できない財産がある場合は、下記の分割方法で遺産を分けられます。

全ての財産を現金化する

全ての財産を一度現金化してしまい、現金の総額を分け合う方法です。公平に財産を分け合えるため、トラブルになりにくいのがメリットです。

しかし、現金化するには相続人全員の合意が必要なため、「思い入れのある家を売りたくない」、「残された株式は今後、資産価値が上るはずだから現金化するのはもったいない」などの意見が出て、合意が得られない可能性もあります。

差額を現金で支払う

相続した遺産に対して、本来受け取るはずの相続分との差額を現金で支払う方法があります。例えば、自分の相続分が300万円だとして500万円の資産価値のある家を相続した場合に、差額の200万円を他の相続人に現金で支払って家を相続したりできます。

ただし、家を相続したいという相続人が複数いる場合は、揉める原因になってしまいますし、そもそも差額分を支払える資金力がないと成立しないため、できない可能性もあるでしょう。

財産を共同で相続する

財産を共同で相続することも可能です。主に、土地などの不動産に用いられるケースが多いです。しかし、共同で相続した場合は、売却や建物の建て直しなどに相続した名義人全員の合意が必要になるため、手続きがとても面倒になります。

また、相続人が亡くなってしまい、配偶者や子供に遺産として渡った場合は、新たな財産の共有者が現れるため、さらに面倒になるでしょう。そのため、財産を共同で相続する際は、将来的なことも考えて相続するのがおすすめです。

そのままの形で分割する

全ての財産をそのままの形で分割する方法です。一度現金化したり差額を支払ったりする必要がないため一番楽な方法ですが、資産価値がばらつきやすく遺産の分割方法でトラブルになりやすいでしょう。

そのため、全てをそのまま分配するのではなく、一部を現金化して可能な範囲で差額を支払うなど、上述した他の方法との併用が有効です。

遺産分割協議のやり直しは例外的

以下のような場合は例外的に遺産分割協議の後に遺産分割協議をやり直すことも可能です。

相続人全員の合意

遺産分割協議そのものが無効

基本的には、相続人全員の合意が必要になります。しかし、後から自分の相続分が減る可能性のある相談のため、合意を得られるのは難しいでしょう。新たな遺産が見つかった際は、新たに見つかった遺産に対してのみ、遺産分割協議が開かれます。

また、脅迫されて無理やりサインした場合や、騙されて相手の都合のよい条件でサインしてしまった場合なども遺産分割協議のやり直しを主張できる可能性があります。

遺産分割協議の際は遺留分に注意してください。遺留分とは、配偶者や直系卑俗(子や孫)、直系尊属(父母や祖父母)に与えられている、最低限保障されている相続分を指します。故人の兄弟には遺留分の権利はありません。

遺留分の存在を知らないまま遺産分割会議をしてしまうと、本来受け取れるはずであった遺産よりも少なくなってしまう可能性があります。また、遺産分割協議書を締結した後になってしまうと、遺留分の請求はできなくなってしまいます。

反対に、遺産分割協議書を作成した後に、遺留分の権利を主張してきた相続人が出てきた場合に、請求は認められませんが請求者との人間関係が悪化し、余計なトラブルに発展してしまう可能性は残ってしまうでしょう。

まとめ

遺言書が残されていない場合は、相続人全員が話し合って遺産を分割しなければなりません。公正証書遺言や秘密証書遺言であれば、公正役場に遺言書が残されているか確認できますが、自筆証書遺言の場合はどこに残されているかわからないため、よく探してください。

また、遺産の分配方法はさまざまな方法があるため、上述した方法をぜひ参考にしてください。

もし、遺産分割協議や遺留分の確認が不安な場合は、「弁護士法人シーライト」にご相談ください。弁護士の仲介があれば相続人の代理人として、スムーズに遺産分割協議を進められます。

相続に関して当事務所にご相談されたい方は、お電話もしくは、お問い合わせページよりご連絡ください。



弁護士 阿部 貴之 写真 弁護士法人シーライト

代表弁護士 阿部 貴之

神奈川県弁護士会所属。弁護士登録後、都内総合法律事務所、東京都庁労働局等を経て、平成27年に弁護士法人シーライトを開設。以来相続トラブルの相談実績は400件を超える。「依頼者の良き伴走者となるために」をモットーに、スタッフと共に事件解決へ向かって邁進中。好きな言葉は「二人三脚」「誠心誠意」。弁護士紹介

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