
70代 女性 神奈川県
| 被相続人 | 甥 |
|---|---|
| 被相続人との関係 | 伯⺟ |
| 相続財産 | 不動産、預貯⾦等 |
| 遺言の有無 | 無し |
| 手続き | 審判 |
背景
ご依頼者は、亡くなった甥と共有していた⼟地について、当事務所へご相談にいらっしゃいました。
この⼟地に強い思い⼊れがあり、甥が有していた共有持分を取得して、⼟地全体を維持したいと希望していました。ご依頼者は、当事務所へのご相談前に司法書⼠へ相続⼈調査を依頼し、その過程で、甥にはきょうだいがいる可能性があると知らされていました。そのきょうだいとは⾯識がなく、甥の財産が引き継がれ、⼟地を共有することになるのは納得できないとのお話でした。
そこで、相続関係を改めて調査し、相続⼈を確認したうえで、相続⼈との協議や共有関係を解消するための法的⼿続を検討する⽅針をご説明し、ご依頼をお受けしました。

主張
- 甥の共有持分を取得したい。
解決までのながれ
相続関係を調査したところ、甥のきょうだいが相続⼈であることが判明しました。そこで当事務所は、ご依頼者の意向を踏まえ、きょうだいに相続放棄を検討してもらえないか打診しました。その後、相続放棄が受理されたため、甥の財産を引き継ぐ相続⼈はいなくなりました。
もっとも、相続⼈がいなくなっても、ご依頼者が直ちに甥の共有持分を取得できるわけではありません。そこで、家庭裁判所に相続財産清算⼈の選任を申し⽴て、予納⾦を納付しました。選任申⽴書には、⺠法255 条による帰属⼜は特別縁故者に対する財産分与によって、共有持分そのものの取得を希望している旨を記載しました。
相続財産清算⼈の選任後は、相続財産の調査や債務の⽀払いなどの清算⼿続が⾏われます。その過程では、必要に応じて不動産などの相続財産が換価されることもあります。本件でも甥の共有持分が換価される可能性があったため、当事務所は相続財産清算⼈に対し、共有持分そのものの取得を希望していることを伝え、財産分与について家庭裁判所の判断が⽰されるまで、共有持分の換価を待ってもらうよう求めました。
その後、家庭裁判所に特別縁故者に対する財産分与を申し⽴てました。本件では、甥の幼少期から家族ぐるみの交流が続いていたこと、甥が重要な事柄をご依頼者に相談していたこと、退院時に⾝元引受⼈となり、退院後も⾝の回りの世話をしていたこと、甥の死亡後に親族と協⼒して葬儀等を⾏ったことなどを、具体的に主張しました。
さらに、ご依頼者が既に⼟地の共有持分を有しており、甥の持分を取得すれば共有関係を解消して⼟地全体を維持できることを説明し、共有持分そのものを分与することが相当であると主張しました。併せて、⾦銭の分与も求めました。
結果
家庭裁判所は、ご依頼者に対し、甥の共有持分を分与する旨の審判をしました。⾦銭の分与は認められませんでしたが、ご依頼者が⼟地全体を単独で所有できることとなりました。
担当弁護士の所感
相続⼈がいない⽅の財産は、⾝近な親族であっても当然に取得できるものではありません。取得を希望する場合には、特別縁故者に対する財産分与の申⽴てが考えられますが、親族であることだけでなく、⽣前の交流、療養中の⽀援、⾝元引受け、死亡後の対応など、被相続⼈との具体的な関わりを⽰すことが重要です。
また、特別縁故者にあたることと、希望する財産の分与が認められることは別の問題です。分与の可否や対象は家庭裁判所が判断するため、不動産そのものの取得を希望する場合には、その不動産を分与することが相当である理由も⽰す必要があります。
共有不動産については、相続⼈のいない共有者の持分を他の共有者に帰属させる規定があります(⺠法255 条)。しかし、この規定によって直ちに持分を取得できるわけではなく、相続財産清算⼈による清算⼿続や特別縁故者への財産分与の⼿続が先⾏し、その間に持分が換価されることもあります。共有者であっても、早い段階で取得に向けた対応を検討することが⼤切です。
なお、特別縁故者として財産を取得した場合には相続税が課されることがあり、被相続⼈の配偶者または⼀親等の⾎族以外の⽅は、相続税額の2割加算の対象となる場合があります。
「相続⼈がいない親族の財産を引き継ぎたい」「亡くなった⽅と共有していた不動産の持分を取得したい」「⻑年、⾝の回りの世話をしてきた⽅の財産について、特別縁故者にあたるか知りたい」とお悩みの⽅は、財産の処分が進む前に、ぜひ弁護⼠法⼈シーライトへご相談ください。
この案件の担当弁護士

弁護士法人シーライト
弁護士 塩谷 恭平
ご相談をしていただいた方の抱えるご不安に誠実に向き合い、できるだけ専門用語を使わずに丁寧に説明を行って、弁護士がどのようなことをサポートできるのかを明確にすることを常に心がけています。



