解決事例
相手方弁護士に放置されていたが、遺産分割調停に至ることなく解決できた件
50代
男性
大阪府
被相続人との関係 | 兄弟姉妹 |
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主な遺産 | 不動産、預貯金、生命保険、有価証券 |
遺言の有無 | 無し |
主な問題点 | 相手に専門家(弁護士など)がついた、相続人と疎遠・仲が良くない、遺産分割、話し合いが進まない |
手続 | 協議 |
背景
ご依頼者様の妹様(被相続人)が亡くなった後に、突然、相手方が依頼した弁護士から受任通知がご依頼者様の元に届きました。当該通知には、家庭裁判所に調停を申し立てる旨の記載がありましたが、半年以上経ってもまったく音沙汰が無かったため、ご依頼者様から相手方弁護士へ進捗確認の連絡をしましたが、その後何ら回答はありませんでした。
被相続人が亡くなってから2年近く経っても解決しないことから、このままでは埒が明かないと判断されて、たまたま帰省したタイミングで当事務所へお問い合わせをいただき、ご相談にお越しいただきました。
主 張
ご依頼者様からは、もし自分に遺留分があれば相手方へ請求したいというお話しがありました。しかし、面談にて事情を確認したところ、被相続人作成の遺言書はなく、被相続人には子どもがおらず両親もすでに亡くなってしまっているため、被相続人の配偶者である相手方と、被相続人の兄であるご依頼者様の2人が相続人となることが判明しました。そうすると、本件では遺留分侵害額の請求ではなく、相続人の一人として相手方に対して相続分の分割を求めることになります(なお、兄弟姉妹には遺留分が認められていないため、遺留分侵害額請求をすることはできません)。
ご依頼者様は遺産不動産の取得は希望していなかったことから、相手方に対し、ご依頼者様の法定相続分に相当する金銭を請求することにし、その旨のご依頼を頂きました。
解決までの流れ
まず、相手方弁護士へ連絡を取り、被相続人の遺産に関する資料の開示を求めました。相手方弁護士から資料が届いた後は、不動産会社への査定依頼により遺産不動産の適正な不動産評価額を把握し、これに基づいてご依頼者様の法定相続分に相当する金額を算出しました。なお、法定相続分は、被相続人の配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合には、配偶者が3/4、兄弟姉妹が1/4の相続分となります(民法900条3号)。
そして、相手方弁護士へご依頼者様の法定相続分に相当する金銭の支払いを請求いたしました。
結果
ご依頼を受けてから約10か月で、遺産分割調停に至ることなく、任意での交渉にて相手方との間で合意が成立し、ご依頼者様が法定相続分に相当する金銭を受け取ることで解決に至りました。
交渉当初、相手方弁護士からは遺産不動産の評価額についてかなり低い金額の主張がありましたが、不動産会社の意見をもとに、相手方弁護士が主張する評価額の妥当性がない点を指摘し、適正な不動産評価額を前提とするよう粘り強く主張しました。
その結果、相手方の初回提示額よりも500万円以上増額した金額で合意することができました。
担当弁護士の所感
本件では、相手方弁護士が就いているにもかかわらず2年近くも進展がなくお困りとのことでご相談を頂きました。面談で事情を伺った段階で、私としては任意での交渉で比較的早期に解決が可能な案件であると判断いたしました。実際にご依頼を受けて相手方弁護士とやり取りをした結果、遺産分割調停に至ることなく合意を成立させることができました。
また、本件では、遺産不動産の評価額が大きな争いになりました。遺産不動産を取得しないご依頼者様としては、遺産不動産の評価額が高いほど、受け取れる法定相続分に相当する金銭(代償金)の金額が高くなります。不動産の評価額をできるだけ低くしたいと考えている相手方弁護士からはかなり低い評価額の主張がありましたが、遺産不動産の実態をふまえた的確な反論を行うことで、適正な不動産評価額を前提として合意をすることができました。
相続に関する話し合いは、相手方に弁護士が就いたからといって必ずしもスムーズに進むわけではありません。また、相手方が依頼した弁護士は、あくまでも相手方の味方(代理人)であって、相続人全員にとって公平な解決に導いてくれるわけでもありません。
相手方に弁護士が就いたケースでは、適正な相続分を受け取るために、早期に弁護士へのご相談及びご依頼をすることをお勧めしております。相手方に弁護士が就いてどのように進めたら良いか分からない、なかなか話し合いが進展しなくて困っている、といったお悩みを抱えている方はぜひ一度ご相談ください。
弁護士 塩谷 恭平
神奈川県弁護士会所属。弁護士登録後、茨城県内法律事務所にて研鑽を積む。令和5年に弁護士法人シーライトに入所。相続トラブルの相談においての、誠実でわかりやすい説明にはお客様からも信頼を得ている。好きな言葉は「為せば成る 為さねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり」。弁護士紹介相続に関して当事務所にご相談されたい方は、お電話もしくは、お問い合わせページよりご連絡ください。