遺言書が原因でトラブルに発展してしまうケースとは?トラブルの相談先も合わせて解説
残された遺族のためを思って作成される遺言書ですが、遺言書そのものが原因でトラブルに発展してしまうケースも多いです。そのためこの記事では、遺言書が原因でトラブルに発展してしまうケースやトラブルになった際の相談先を紹介します。
目次
遺言書が原因でトラブルになってしまうケース
遺言書は、故人が自分の財産を滞りなく分配するために作成する書類です。遺言書を作成する理由として、残された遺族がトラブルにならないようにするためや、自分が亡くなった後に遺族に余計な手間をかけさないために、遺言書を作成しておくケースが多いです。
しかし、遺言書が原因でトラブルに発展してしまうケースも少なくありません。遺言書が原因でトラブルに発展してしまうケースを、具体的に紹介します。
遺言書の有効性が疑われる
せっかく遺言書を残していても、遺言書の有効性が疑われてしまい、相続人同士のトラブルに発展してしまう、本当に遺言書が無効になってしまう場合があります。遺言書には法的な効力があるため、厳格な要件に沿って書く必要があるからです。
要件を満たしていないと遺言書として認められず、書かれている内容が無効になってしまいます。特に自筆証書遺言は、ほとんどの場合で専門家など第三者の確認がされないまま制作されるため、要件を満たしていないこともめずらしくありません。
また、相続人の1人が不利な内容で書かれている場合などに、不満を持って遺言書自体に問題がなくても無効を訴えるなどの、相続人間のトラブルに発展してしまう可能性があります。
遺留分侵害額請求がされる
遺留分侵害額請求とは、遺留分の相続権利が認められている相続人が、本来得られるはずの遺留分に満たない財産しか相続できなかった場合に請求される権利です。遺留分は遺言書の内容に関わらず保障された相続財産であるため、遺言書通りの配分にならない可能性があります。
遺留分侵害額請求が申請されると、相続人同士でトラブルに発展してしまう、余計な手間をかけさせる原因になるため、遺言書を残す際は意識して作成した方がよいでしょう。
判断能力のない状態で遺言書が作成された可能性がある
遺言書の作成は、作成者に正しい判断能力がないと認められた場合は、遺言書が無効になります。具体的には、認知症などを発症していて遺言の内容と結果を理解する能力がない状態を指します。
また、判断能力があったかどうかは故人なので、判断が難しいポイントになります。病院での診察書や介護施設での証言などが有効ですが、第三者が証明できる書類がない場合も多いでしょう。
そのため、お互いの主張が嚙み合わずに水掛け論になってしまい、トラブルに発展してしまうケースが多いです。
遺言書の内容が明確に記載されていない
遺言書を作成する際は、「どの」財産を「誰」に「どれくらい」相続させるのか、具体的に明記する必要があります。しかし、曖昧な状態で記されていると効力が発揮されない場合があります。
また、土地や家などの不動産の場合は、登記申請もできなくなる可能性があり、遺言書を残した意味がなくなってしまいかねません。
遺言書に記載のない財産が見つかった
遺言書に記載のない財産が後から見つかった場合も、余計なトラブルの原因になってしまいます。遺産を相続する際は、相続人や故人の財産を調査する必要がありますが、調査したら遺言書に記載のない財産が出てくる場合があります。
遺言書に記載のない財産は、結局遺産分割協議をして分割しなければならないため手間がかかるうえ、土地などの不動産である場合は簡単に分割もできないので、余計なトラブルに発展してしまうリスクが上がります。
遺産分割協議後に遺言書が見つかった
遺産分割協議をした後に、遺言書が見つかった場合はトラブルになりやすいです。遺産分割協議でみんなが納得して決めた内容が、後から見つかった遺言書に振り回されてしまいます。特に自筆証書遺言の場合は、保管場所も故人が決めるため中々見つからない可能性も高いです。
また、一度決まった遺産分割協議の無効が主張されてしまう可能性があるため、余計な手間も増えてしまいます。遺産分割協議を優先させることも可能ですが、相続人全員の同意が必要なため、遺言書の内容の方が魅力的な相続人がいる場合は、同意が得られないでしょう。
文字が汚くて正確に読めない
文字が汚くて正確に読めない遺言書の場合は、鑑定に出して文字を解読してもらう必要が出てきます。また、本人が書いたものか証明するために、筆跡鑑定も同時にしてもらうケースもあるでしょう。
遺言書がパソコンや映像で制作されていた
2019年より遺言書に合わせて残す「財産目録」のみパソコンでの制作が認められるようになりました。そのため、遺言書をパソコンで作成できると勘違いしてしまうケースもあります。
しかし、遺言書は原則として被相続人本人が自筆で書かなければなりません。そのため、パソコンや映像で遺言書が作成されていた場合は、無効になってしまい遺言書としての効力はありません。
遺言書に関するトラブルが起きた際の相談先
遺言書に関するトラブルが起きた際は、弁護士や税理士・司法書士などの士業に相談できます。士業の中でも弁護士に相談するのがおすすめです。弁護士は法律に関する専門家であり、相続人同士でトラブルに発展した際に、代理人として相手と交渉ができる唯一の士業だからです。
また、遺留分侵害額請求が起きた際も適切な対応がアドバイスをもらえるため、とても心強い味方になってくれるでしょう。相続人同士のトラブルが大きくなってしまい、調停や訴訟に発展してしまった場合でも、そのまま代理人として依頼できるのも、弁護士に依頼する大きなメリットと言えるでしょう。
遺産相続に関するお悩みをお持ちであれば、「弁護士法人シーライト」にご相談ください。弁護士法人シーライトでは、300を超える多くの相談実績があります。
まとめ
残された遺族のためを思って作った遺言書であっても、遺言書が原因でトラブルに発展してしまうケースがあります。相続トラブルは長期化してしまう場合も少なくないため、遺族に余計な手間をかけさせてしまうかもしれません。
もし遺言書が見つかっても、内容が不十分とみなされるほか、遺言書に記載のない財産が後から出てきた場合は、相続人同士だけで解決するのではなく、法律の専門家である弁護士に相談するのがおすすめです。
「弁護士法人シーライト」では、遺産相続に関するトラブルやお悩みのご相談を受け付けております。弁護士費用についてもホームページにわかりやすく記載しておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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代表弁護士 阿部 貴之
神奈川県弁護士会所属。弁護士登録後、都内総合法律事務所、東京都庁労働局等を経て、平成27年に弁護士法人シーライトを開設。以来相続トラブルの相談実績は400件を超える。「依頼者の良き伴走者となるために」をモットーに、スタッフと共に事件解決へ向かって邁進中。好きな言葉は「二人三脚」「誠心誠意」。弁護士紹介