認知症の人も相続目的の養子縁組をできるの?

認知症の母が亡くなりました。相続人は私と姉と姉の夫(養子)の3人です。
母は亡くなるしばらく前に、姉の夫を養子にしました。認知症の人がいわゆる相続養子契約をすることができるのでしょうか?また、姉が財産の内訳(財産目録)を開示してくれないのですが、どうすればいいでしょうか?

※ 当事務所で実際にご相談を承った事案ですが、プライバシー保護やわかりやすくお伝えするために、内容が大きく変わらない範囲で、事実関係を変更しています。

弁護士からの回答

結論から申し上げると、認知症の人が行った養子縁組の有効・無効の立証は極めて難しい旨を回答しました。

養子縁組の無効主張の難しさ

養子縁組の無効について定めている民法第802条第一項は、「人違いその他の事由によって当事者間に縁組をする意思がないとき。」と明記されています。

この意思というのは、二つを含んだ概念です(「大村敦志『家族法』有斐閣2010年204頁」)。第一に養子縁組をするとどういう効果があるかを認識していること。第二に、意思能力(ここでは、相続権を与えるかわりに扶養してもらうことが認識できる精神状態)があることです。

事理弁識能力を欠く常況にある成年被後見人も、「事理を弁識する能力を一時回復した時において遺言をするには、医師二人以上の立会いがなければならない。」(民法第973条第一項)とされておりますので、認知症であっても、一時的に事理弁識能力が回復することは法律も想定しています。

多くの裁判例(一例として、広島高裁平成29年5月9日判タ1410号125頁)がありますが、意思があったか。なかったかを立証するのは極めて難しいです。

財産調査

お姉様が財産の内訳(財産目録)を一切開示しないことについては、お母様の相続財産がいくらなのかを弁護士が調べる「財産調査」をご提案しました。

弁護士法人シーライトでは、財産を開示してくれない。価値が低い財産を押しつけられたなどの案件で、財産調査と遺産分割協議を行なった実績があります。お気軽にご相談下さい。

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