
80代 女性 神奈川県
| 被相続人との関係 | ‐ |
|---|---|
| 主な財産 | ‐ |
| 遺言の有無 | ‐ |
| 主な問題点 | 賃貸借契約・建物明渡・相続人不存在 |
| 手続き | 民事訴訟・特別代理人 |
背景
ご依頼者様が所有の建物を賃借していたところ、賃借人が急死してしまった。更に、賃借人の相続人が全員相続放棄してしまったことにより、相続人不存在となってしまった。
このような状況の下、速やかに残置物を撤去して建物を明け渡して新たな賃貸借を開始したいが、どのようにしたらいいかわからずご相談にいらっしゃいました。
主張
- 賃借人が相続人不存在という状況に対し、最小限のコストと時間で賃貸借の終了、建物明渡を実現したい
解決までの流れ
まず、民事訴訟が必須であることがわかりましたので、相続人不存在を証明するため家庭裁判所に賃借人の相続人全員分の相続放棄申述受理証明書を取り寄せました。
そのうえで、「賃借人相続財産法人」を被告として賃貸借契約の終了に基づく建物明渡の民事訴訟を提起しました。それと同時に相続財産法人の特別代理人の申立てをしました。
当事務所は、最速の第1回期日での和解成立を目指すべく、選任された特別代理人と和解条件の交渉をおこないました。
担当弁護士解説
相続が発生すると、通常、被相続人の相続財産は相続人が引き継ぎます。しかし、相続人になり得る人が全員相続放棄などによって、相続人不存在となった場合、どうなるでしょうか?
この場合、民法は、相続人不存在の場合「相続財産は、法人とする」(民法951条)としております。不思議に思うかもしれませんが、被相続人Aさんの相続人が不存在となった場合には、まるで「A相続財産法人」という会社が成立したかのように、形上取扱われるのです。
会社などの法人は、あくまで概念上の存在なので、通常、代表者がいて、その代表者が意思決定などを行います。
しかし、代表者が欠けたまま放置されている場合などには、その法人を訴えたい人は困ってしまいます。そこで、民事訴訟法37条・35条は、そういった法人に対し訴訟の範囲内で法人のために活動する「特別代理人」を付けることができるという制度を設けています。
結果
ほぼこちらの要望通り、
- 建物を現状のまま明け渡す
- 駐車してある自動車は依頼者に所有権を移転する
- 建物内にある残置物については全て所有権を放棄して依頼者が自由に処分可
という内容で、第1回期日にて和解が成立しました。
担当弁護士の所感
相続が発生した場合に、被相続人にめぼしい財産がなかったり、債務が多いという場合には相続人全員が相続放棄をしてしまうケースがしばしばあります。その場合、相続人不存在となり、「相続財産法人」が成立すると形上取り扱われます。
しかし、本件のように、現実何か法的手続きをしなくてはならない場合には、具体的な相手方がいないので、どのようにすればよいのかは一般の方ではわからず、非常に困ってしまうことと思います。相続人不存在の場合には「相続財産清算手続き」(民法952条)をとることもありますが、この手続きは時間もお金も非常にかかり、本件のように「建物明渡さえしてくれればよい」といったニーズにとっては無駄であることが多いです。
本件では民事訴訟上の特別代理人を活用することにより、第1回期日で当方主張がほぼ認めてもらうことができ、コストパフォーマンスを非常に良く解決まで導くことができました。
相続人が全員相続放棄してしまい、どうすればよいかわからないといったお悩みを抱えている方は、早めに弁護士にご相談ください。
この案件の担当弁護士

弁護士法人シーライト
副代表弁護士 小林 玲生起
相続が発生すると、亡くなった方が培ってきた財産や人間関係等の総整理が必要になります。是非当事務所にお越し頂き、お聞かせ願えればと思います。



