
70代
男性
神奈川県
被相続人との関係 | 子 |
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主な遺産 | 土地建物、現預金 |
遺言の有無 | 無 |
主な問題点 | 不動産の評価 預貯金の使い込み 相続人と疎遠・仲が良くない 話し合いが進まない |
手続 | 協議 |
背景
父は既に亡くなっていたところ、この度母が亡くなったとのことで、相続人は相談者と姉の二人、ということで、お問合せいただきました。
依頼者様がわかる範囲でお調べになった限りでも直近1年間で母の預貯金口座から1000万円ほど出金されておりました。依頼者様は、直近1年で母は施設に入っていて、一定期間は姉が母の財産管理をしていたと聞き及んでいたことから、姉が出金したのではないかと推測したとのことでした。しかし、感情がもつれてしまい、姉との対話が困難なため、専門家に依頼したい、とのことでご相談いただき、ご依頼いただきました。

主 張
- 姉の「使い込み」をしっかり追及した上で、法定相続分で分けたい
- 不動産は、できれば自分が欲しいと思っているが、「正しい相続」のためであれば強くこだわらない
- 姉とのやりとりを代わってほしい
解決までの流れ
過去4年を遡って母の預貯金口座の取引履歴を調査したところ、4年間で合計約1億2千万円の出金が確認できました。これを全て母が使ったとは考えられず、姉による使い込みが疑われました。
そこで、銀行の預金口座毎の出金年月日と出金額を整理し、その書面と回答用紙を姉へ送りました。これらの出金について、贈与を受けたのか、お母様の指示で引き出して使ったのか、出金しただけでお金は手許にあるのか、などを回答するよう求めました。
すると、姉から、母の指示で出金し生活費や病院への支払いなどに使ったものや、今も姉の手許で保管しているものもあるものの、3000~4000万円ほどは知らないとの回答がありました。
本件のように使い込み額が高額で、更に使途が不明瞭な場合、一般的には裁判必至です。しかし、依頼者様は、すべての使途不明金を明らかにするよりも、できれば裁判で長期化することを避けたいというご意向でしたので、なるべく裁判を避けてスピード解決できるよう戦略を練りました。
判明した姉の出金額は約8500万円でしたが、残された預貯金とご実家の不動産の価格を合計すると、こちらもちょうど約8500万円でした。そのことから、姉に対して、残された預貯金と不動産を全て依頼者様が取得するものとする遺産分割はどうかと提案し、交渉しました。最終的に姉は、約8500万円を手許で保管していることを認め、こちらの提案を呑みました。
結果
使途不明金約1億2000万円のうち8500万円を姉が保管しているものとして遺産分割することができました。
担当弁護士の所感
使い込みの事案は、相手方が使い込みを認めず、裁判をせざるを得なくなるケースも珍しくありません。
しかし、今回は相手方が大部分を認めたため、お互いに長期にわたる裁判をしないで済み、早期解決をすることができました。
これが交渉の難しいところですが、一方的にこちらのメリットのみ示しても交渉決裂になるだけです。今回の提案は、姉にとってはこれ以上の追及はされず裁判もしないで済むというメリットもありました。相手方の意向を見抜き、交渉を進めたことで、納得いただける解決となったと自負しております。
きょうだい間の相続は、感情的になってこじれることが多いものです。また、所謂使い込みの場合、膨大な銀行の取引履歴の集計や分析、相手方への追及などやることが多く、どうしていいかわからずお問合せいただくケースもままあります。ケースバイケースではありますが、具体的には1千万円を越えるような高額な使い込みが疑われる場合、一般の方が安易に独力で対応しようとすると、話がこじれたり証拠を隠されたりして、却ってトラブルが拡大する可能性があります。
本件のように、きょうだい間のトラブルや、高額な使い込みが疑われる場合には、なるべくお早めに、まずは専門家へご相談されることをお勧めいたします。
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