
90代
女性
神奈川県
被相続人との関係 | 叔母 |
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主な遺産 | 預貯金 不動産 生命保険 |
遺言の有無 | 無 |
主な問題点 | 相続人がいない |
手続 | 審判 |
背景
姪が自宅で孤独死していたということで、被相続人の叔母様とそのご家族から相談を受けました。
姪は独身で1人っ子でしたので、法定相続人はおりませんでした。念のため公証役場で遺言書を検索しましたが、遺言は見当たりませんでした。遺言が見当たらなかったことから、姪の財産の受け取り手がいないことがわかりました。姪は、いわゆる家督相続のようなかたちで、先祖代々の財産を一手に引き継いでいました。そのため、姪の遺産は自宅不動産も含めて約1億円ありました。姪のように、相続人のいない者が一族の財産を引き継いでいた場合、先祖が遺してくれた財産はどうなってしまうのでしょうか。また、葬儀や埋葬の費用は勿論、孤独死だったので、家の清掃費用なども立替えているのですが、姪の遺産から清算してもらえるのでしょうか。
とのことでした。このままだと相続人がいないので、遺産は全て国の帰属となってしまいます。しかし、本件のような場合、ご相談者様に対して「特別縁故者に対する相続財産分与」が認められれば、遺産のうちの一部は取り戻すことができます。先祖代々家督相続的に受け継がれてきた財産が、全て国に渡ってしまうのは困るので、なんとかしてもらいたい、ということでご依頼いただきました。

主 張
- 被相続人が所有していた一族の遺産を一部でも取り戻したい
- 立替えていた葬祭料などの費用を清算したい
解決までの流れ
裁判所へ特別縁故者に対する相続財産分与申立をするには、まず相続財産清算人の選任審判申立を行う必要があります。そのため、まずは分かっている範囲の財産を情報としてまとめ上げ、相続人調査を行い、その上で相続財産清算人の選任審判申立を行いました。その結果、裁判所から選任された弁護士が相続財産清算人となりました。
清算手続が法で定められた順番に進んで行き、特別縁故者の相続財産分与の申立をするタイミングが来ました。そこで、裁判所へ特別縁故者に対する相続財産分与の申立をしました。この申立では、亡くなった被相続人と、叔母の立場にあるご依頼者様が、生前にどれだけ特別な縁故があったかを裁判所に伝える必要があります。具体的な金額や割合などは、法律で定まっているわけではなく、裁判所の裁量で縁故を有していた期間・内容・程度・遺産の額に応じて、分与額が決まります。そのため、被相続人とご依頼者様の間にどのような交流があったか、ということを立証する資料として以下のようなものを集めました。
・ご遺体が発見された状況、葬儀の状況、自宅の清掃や片付け・各手続きの手配や費用の立替えなどをまとめたもの
・(一族の財産が姪に遺贈されて、継承されたことの証明として)継承当時の遺言書や相続税の申告書
・姪と叔母がお互いにやりとりしていた手紙やプレゼント、姪と叔母が一緒に写っている写真、叔母が載っている姪の電話帳
・(姪が埋葬された墓地を、叔母が管理していることの証明として)墓地の請求書
これらの資料を提出して主張立証していきました。
結果
裁判所から特別縁故者への財産分与として、700万円を与えるという審判を獲得しました。
0円
→
700万円
担当弁護士の所感
本件では、縁故の程度に応じた妥当な財産分与がなされたと思います。本件の姪と叔母は、常日頃面倒をみていたというわけではなく、一応の交流はある、というような関係でした。より深い交流があり、日頃面倒を見ていたなどの事情があれば、更に多くの財産分与がなされたと思われます。
「特別縁故者に対する相続財産分与の申立」という手続は、一般の方にはあまり知られていないようです。更に、この手続を成功させるには、「特別の縁故」の立証が肝心です。「相続人がいなかったから、財産が国庫に帰属されてしまった。」「身寄りがなかったために、親族の持っていた先祖代々の土地が国のものになってしまった。」と後になって後悔しないためにも、「親しい方が財産を残して亡くなってしまったのに、相続人がいない」という状況でお困りの場合には、本件のように遺産の一部を取り戻せる可能性がありますので、まずは弁護士にご相談ください。
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