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相続でもめる原因と対策

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大切な家族が亡くなり、気持ち的にも落ち込んでいる状態の中で、残された親族で遺産についてもめることは誰しも望まないことだと思います。しかし、全ての相続が円滑に進むわけではなく、中には相続人同士で争いに発展してしまうケースもあります。
令和3年度の司法統計によると、裁判所に遺産分割調停による解決を求め、調停による解決がなされた事件は、1年間で7,000件弱に上ります。このような統計からも裁判所に相続トラブルの解決を求めるケースが一定の割合あるということがわかります。つまり、相続トラブルは、決してテレビの世界の話だけというものではなく、身近な問題としてあるのです。今回の記事では、遺産相続でもめる原因ともめないための対策についてご紹介します。

目次

遺産相続でもめる原因とは?

1.法的に有効な遺言が遺されていない

遺産相続がもめてしまう原因としては、被相続人による遺言が遺されていないことが1つとしてあげられます。法的要件を満たしている遺言であれば、その遺言のとおりに遺産分割がなされます。そして、遺言執行者が指定されている場合には、遺言執行者が遺言の内容どおりに遺産分割を行っていきます。遺言の中で、明確に遺産の分配方法や相続対象が明記されていれば、相続人が調査する手間を省くことができたり、遺産分割について相続人間でもめたりすることは少ないのですが、遺言のない状態で突然他界してしまった場合には、トラブルが発生しやすくなります。

1-1.なぜ遺言がないともめてしまうのか?

法的に有効な被相続人の遺言がなければ、相続人全員で、遺産分割協議により遺産分割の方法を決定しなければなりません。そして、その遺産分割には、相続人全員の合意が必要です。まず、遺言がないことによる遺産トラブルの多くは、相続人による遺産分割協議がまとまらないことにより発生します。もし、遺産分割協議で話合いがまとまらない場合には、遺産分割調停、遺産分割審判に発展し、相続について争うことになってしまいます。

1-2.遺産分割協議がまとまらない理由とは

遺産分割協議がなぜ相続人の間でまとまらないことがあるのかについていくつかのケースが考えられます。それらのケースについてご紹介します。

相続財産の中に不動産がある場合

遺産の中に不動産がある場合には、現金や預貯金のように簡単に分割できないため、誰が相続するかということで相続人の間でトラブルになりやすいです。たとえば、被相続人の住んでいた家や土地、不動産収益を上げている賃貸物件や遠方にある管理の難しい農地や山林を誰が相続するのかなどが例としてあげられます。
親と同居していた子どもが、親が他界した後もその家に住み続けるとなった場合、主な相続財産がその家であるときには、他の兄弟姉妹から不満が出る可能性があります。不動産の現物を分割する場合、いくつか分割方法があります。しかし、その分割方法によって、その後の資産価値が大きく左右されます。

不動産の分割方法は、現物分割、代償分割、換価分割、共有分割になります。土地を現物分割したいけれど、公平な分割が難しい不動産については、売却したうえで売却代金を相続割合に応じて分ける換価分割を検討する必要があります。または、特定の相続人が財産を相続し、その相続人が他の相続人に対して相応の金銭などを支払う代償分割という方法もあります。さらに、不動産の資産価値を評価するのにもいくつか方法があるため、その評価方法をめぐってそれぞれの言い分が割れてしまうということも多々あります。

しかし、不動産の分割に関する話合いがまとまらないからといって、ひとつの不動産を複数以上の相続人で共有財産として相続することはおすすめできません。なぜなら、共有する不動産に対して売却や建て替えなどをする場合は、必ず共有者全員の合意が必要となり、共有者1人の考えでは何もできなくなるということが発生します。また、共有者の誰かが死亡したときには、死亡した人間の代替わりが現れ、共有者が増えていく可能性もあり、権利が更に複雑になってしまいます。つまり、不動産を共有財産とすることで、後世でもめる原因となってしまう可能性があります。

被相続人の元配偶者との間に子どもがいる場合、被相続人に認知されていない子がいる場合

相続が発生した場合、被相続人に離婚歴がありその元配偶者との間に子どもがいるときや、認知されていない子どもがいるときには、注意が必要です。離婚した元配偶者や、内縁関係にあった人は、法的に被相続人とは他人であるため、相続権がありません。しかし、被相続人の元配偶者や内縁関係の人との間に子どもがいる場合には、その子どもには相続権が発生します。

内縁関係の子どもには、認知されている子どものケースと認知されていない子どものケースがあります。たとえ婚姻関係にない父親と母親の間に生まれた子どもで、認知された子どもは、第一順位の法定相続人となります。原則として認知されていない子どもには、被相続人と法律上の親子関係が認められないため、相続権はありません。しかし、認知されていない子どもでも、死後認知によって相続権が発生することもあります。

死後認知とは、被相続人の死後に認知されていない子どもと被相続人との法律上の親子関係を確定させる手続です。被相続人の死後3年以内であれば、認知を求めて訴訟を起こし、法律上の親子関係が認定されることがあります。認知されていない子どもが、死後認知請求訴訟を提起して勝訴し、その判決が確定すれば認知の効力が生じるので、その子どもは相続権を得ることができます。
法的に有効な遺言が遺されていない場合には、遺産分割協議をしなければなりません。そして、遺産分割協議は、法定相続人が全員揃う必要があります。そのため、普段交流がないような異母(異父)兄弟姉妹とも向き合わねばならなくなるようなケースもあります。その結果、相続人同士で感情的な争いが生じ、大きな相続トラブルへと発展することも多いです。

相続人同士の仲が険悪な場合

遺言がない状態で、遺産総額が少額な場合であってもトラブルに発展するケースがあります。それは、兄弟姉妹間の仲が以前から悪い場合があげられます。お互いに関係性が悪いために、長年疎遠にしていた兄弟姉妹同士が、相続の開始によって、再び顔を合わせなければならず、その結果、遺産分割協議の場で争いが始まってしまうというパターンです。

被相続人の介護の負担が特定の人物に偏っている場合

被相続人が生きている間の介護に従事していた子どもであっても、法的に有効な遺言がない場合、遺産分割協議の結果、法定相続分どおりに分割することが決定されてしまったら介護分が考慮されず、介護負担をしなかった他の子どもと同じ相続財産しかもらえない場合があります。

たとえば、父親が存命の間、母親と長男が自宅で長年介護をしていました。父親には子どもが、2人いますが、もう1人の子どもである次男は、早くから家を出て一人暮らしをしていました。父親が亡くなり相続開始されたとき、法的に有効な遺言がなく、相続人は母親と子ども2人の計3人である場合に、法定相続分で遺産を分けとなると、配偶者である母親は、法定相続分として1/2、子どもである長男と次男はそれぞれ1/4ずつ相続することになります。しかし、今回のようなケースでは、長男が長年介護に従事してきており、両親の生活資金も支えてきたような場合には、介護に全く携わってこなかった次男と同額の遺産しか受け取れないとなると、長男に不満が出てくることもあり得ます。そこで、相続の際に長男は、次男に対して寄与分を主張することができますが、必ずしも寄与分が認められるとは限りません。寄与分を主張することで、兄弟間の関係にも影響を与えてしまうこともあります。

※寄与分とは、被相続人の生前に、被相続人の財産の維持や増加に特別の貢献した相続人に対し、その貢献を考慮し、その相続人に対して特別に与えられる相続財産への持ち分のことをいいます。

また、寄与分が認められるのは基本的に法定相続人だけとなります。たとえば、長男の配偶者が、長年被相続人の介護をしていたとしても、法定相続人ではない配偶者自身には寄与分が認められません。ただし、長男の配偶者は特別寄与料の請求が可能な場合があります。しかし、特別寄与料が認められるハードルは非常に高く、簡単に認められるわけではないため、現実と制度の乖離が、心情面でもめる原因にもなるでしょう。

2.生前贈与が行われていた場合

遺言は遺っていて、その遺言自体には偏りがない場合でも、特定の相続人だけが被相続人から多額の贈与を受けていた場合には、相続トラブルに発展する場合があります。特に、生前贈与を知らなかった他の相続人から、不満が起きてしまい衝突する可能性があります。特別受益とは、被相続人の生前に贈与などを受けるなどの方法で一部の相続人だけが特別に得た利益のことです。特別受益を無視して遺産分割をすると不公平になるため、特別受益の持戻し(相続財産に特別受益の金額を加えることです)を行って相続分の計算することになります。ちなみに、遺言では相続に偏りがない場合でも、一部の相続人だけが生前贈与を受けている状況のときには、相続開始から10年以内の特別受益にあたる生前贈与であれば、遺留分として請求できる可能性があります。
※注:ただし、遺言などで被相続人が特別受益の持戻し免除の意思表示をすることで、その意思表示は、遺留分に関する規定に違反しない範囲内で、その効力を有します(民法903条3項)。 持ち戻しの免状の意思表示があれば、相続財産へ特別受益の持ち戻しは行いません。

3.遺言書の内容に偏りがある場合

被相続人の遺言書の内容が、一部の相続人に多くの財産を相続させるような場合には、トラブルになることもあります。被相続人と関係が良好な子どもには、不動産を含んだ多くの遺産を相続させ、関係が希薄な子どもに対しては、遺留分を侵害する額の遺産しか相続しないといったケースが考えられます。このように遺言書の内容に偏りがある場合には、相続が少ない側の相続人から不満が出るでしょう。または、相続人が、想像もしていなかったような、慈善団体や学校などの遺贈先が書かれている場合にも、遺産を巡ってトラブルになる場合があります。

4.被相続人が事業を営んでいた場合

被相続人が事業を営んでいて、相続に関する準備もまだ始めたばかりという若い年齢で他界してしまった場合です。会社を経営していた場合や会社の筆頭株主であるような場合には、被相続人の株式の分配をめぐってトラブルに発展する可能性があります。

5.特定の人が被相続人の財産を管理していた場合

被相続人の財産を生前から特定の人が管理していた場合には、相続財産を隠したり、使い込みが行われていたりするケースもあります。また、逆に、何も遺産を隠していない、使い込みもしていないのにも関わらず、他の相続人から疑われ、使用用途の開示を求められてしまうなどのトラブルになることもあります。
もし使途不明金の使い込みがある場合には、その使い込みをした者に対して、不当利得返還請求や不法行為に基づく損害賠償請求等を行われることもあります。相続が開始された時点で、使途不明金について詳細を追及しようとすると、時間と労力がかかり、相続人同士でもめる原因となることが多いです。
他にも、介護を行っていた同居人が財産の使い込みを疑われ、医療記録の取得や費用明細の開示に発展するケースもあります。被相続人の財産を同居しながら管理していた被相続人の子どもと、一緒には住んでいない子ども同士で争いに発展してしまうケースもあります。被相続人と同居していた相続人と、遠方に住んでいて被相続人とほとんど会わなかった相続人とでは、被相続人の財産状況について知る機会に大きな差が生じてしまうため、ささいなことが原因で、相続人間で疑心暗鬼になりもめる原因となってしまうのです。

相続でもめないようにするためには

1.正しい遺言書の作成をする

生前に遺言書を正しく作成することで相続トラブルを回避できる可能性は高まります。前述したように、法的に有効な遺言書がないために起きてしまう相続トラブルは多数あります。遺言書には、いくつか種類がありますが、公正証書遺言で遺言を作成することをおすすめします。もちろん、公正証書遺言でなくてはならないというわけではありません。自筆証書遺言という種類の遺言は、公正証書遺言とは異なり、自分一人で作成できる手軽な方法となります。ただし、その手軽さ故に、法律・相続について詳しくない人が単独で作成すると作成方法の不備や内容の正確さに欠ける場合も多く、せっかく作成した思い入れのある遺言書も無効になってしまう可能性があります。他方、公正証書遺言は、遺言作成の知識を有した公証人が作成に携わるため、遺言の方式に従っていないことで無効となることはありません。また、遺言書を作成する際には、相続人同士で不満が生まれないように遺留分などにも配慮した内容で作成したほうが、後の相続トラブルも回避できます。

2.生前贈与の段階から親族間でしっかりと打ち合わせをする

生前贈与については、前述したように特別受益として相続後のトラブルの原因になる可能性があります。特定の人物などに対して生前贈与を行う場合には、生前贈与を受けない他の家族に伝えておくことが大切です。また、その際には、今後の相続方針についても話合いをしておくことで、相続開始後の争いを防ぐことができます。

3.経営者は早めの準備を行う

経営者の場合には、早い段階から弁護士などに依頼し株式の移動や後継者の指名などを行うのがよいでしょう。場合によっては事業承継なども行います。

相続でもめてしまったら、弁護士にご相談ください

相続でもめてしまった場合には、早めに弁護士に相談されることをおすすめします。
弁護士は、ご依頼者様に代わって、もめている遺産分割協議に代理人として参加し対応いたします。また、遺産分割協議の話合いがまとまらず、遺産分割調停や遺産分割審判になった場合にも弁護士が対応致します。そうすることで、相続でもめてしまい、関係性の悪くなった相続人とご依頼者様が直接話合う必要もなくなり、対応に悩まされることもなくなります。このように弁護士に依頼をすることで、相続の紛争問題の解決を実現することが可能です。相続は、誰にでも起こり得る生活に身近な問題となります。相続で悩まれている方は、弁護士法人シーライトにお気軽にご相談ください。



弁護士 阿部 貴之 写真 弁護士法人シーライト

代表弁護士 阿部 貴之

神奈川県弁護士会所属。弁護士登録後、都内総合法律事務所、東京都庁労働局等を経て、平成27年に弁護士法人シーライトを開設。以来相続トラブルの相談実績は500件を超える。「依頼者の良き伴走者となるために」をモットーに、スタッフと共に事件解決へ向かって邁進中。好きな言葉は「二人三脚」「誠心誠意」。弁護士紹介

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