【メルマガ先行公開】株式を相続した場合の相続税はどうなるのか?

被相続人が所有していた株式を相続した場合、株価を含めた遺産総額によっては、相続税の支払いが発生することがあります。

株式は、相続財産の中でも特に相続税の評価額の面で取扱いが難しい財産の1つになります。相続税額は、株式の種類や非上場株式の場合は保有割合などにより大きく変わってきます。

今回は、上場株式・非上場株式の相続税の評価方法や、手続上の注意点、そして弁護士に依頼するメリットについて解説します。

目次

株式の相続税算定の流れ

被相続人の財産調査の結果、株式が相続財産として含まれていた場合の相続税の計算の流れについて紹介します。
そもそも株式が相続財産に含まれているのかどうかの確認から株式の相続手続の基本的な流れについて簡単に説明すると下記のような手順をとります。

遺言の有無の確認と相続人調査・相続財産調査

有効な遺言があるかどうかを確認し、原則遺言の内容どおりに株式の遺産分割を行います。
また、相続人を確定させる必要がある場合には、相続人調査に必要な書類を取得し、相続人を確定させます。
被相続人が株式を保有していたかどうかが不明な場合には、株式の保有状況を調査します。株式の調査方法は、上場株式か非上場株式によって、異なります。

必要に応じて遺産分割協議を行う

相続人が複数存在している場合で有効な遺言書がないケースや遺言とは異なる方法で、遺産を分割することに相続人全員が同意しているケースなどでは、相続人全員による遺産分割協議を行い、誰がどのように株式を相続するのかなどについて決定します。

遺産分割協議が成立しない場合には、遺産分割調停、遺産分割審判により、決定することになります。

株式の名義変更手続

誰が株式を相続するのか決定したら、被相続人の株式を、その相続人の名義に変更します。

相続税の申告・納付

株式を含めたすべての遺産の課税価格が、相続税の基礎控除額を超えている場合には、相続税の申告・納付をします。

この①~④までが、株式を相続した場合の手続のおおまかな流れとなります。

株式が相続財産にあるかどうかを含めた基本的な相続手続については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

今回の記事では、主に④の株式の相続税について解説いたします。

株式の相続税額を計算

株式の相続税の計算方法は、下記のような流れとなります。

  • 株式1株あたりの評価額を計算
  • 保有株数に1の評価額を乗じ、株式全体の評価額を計算
  • 全ての課税対象財産の総額から基礎控除を行い、相続税の申告が必要かどうかを判断する
  • 相続税の申告が必要な場合には、相続時にかかる規定の税率を乗じて相続税額を計算する

これが、株式の相続税を計算する際のおおまかな手順となります。それでは、それぞれの項目についてもう少し詳しく見ていきたいと思います。

株式1株あたりの評価額を計算

株式の1株あたりの評価額を計算する際には、上場株式か非上場株式かで、評価方法が変わります。

上場株式の相続税評価方法

上場株式とは、証券取引所に上場されている株式を指し、日々の株価が公開されています。日々の株価については、証券取引所の株式相場表やインターネットなどで検索することで調べられます。

相続の手続の際には、証券会社が発行する残高証明書により確認することもできます。
上場株式の相続税を計算するための評価額は、相続発生日時点での取引相場を基準にして次の4つの価格から最も低い金額となります。

評価方法
  • 相続開始日(被相続人の死亡日)の終値
  • 相続開始月の毎日の終値の平均額
  • 相続開始月の前月の終値の平均額
  • 相続開始月の前々月の終値の平均額

もし、相続した株式が複数銘柄ある場合には、それぞれの銘柄ごとに上記の評価方法で評価額を決定します。

非上場株式の相続税評価方法

非上場株式は、相続財産の中でも特に評価が難しい財産です。市場価格が存在しないため、相続税評価には、国税庁が決めた持参評価基本通達という計算方法が用いられます。

評価方法は、主に2通り

非上場株式の評価方法は、大きく分けて2つあります。
それが、「原則的評価方式」と「配当還元方式」になり、状況に応じて使い分けます。

1.原則的評価方式

原則的評価方式とは、非上場株式の発行会社を業種、従業員数、総資産額、取引金額をもとに、会社の規模を大会社、中会社、小会社のいずれかに判別し、それぞれの会社において定められた方法で評価をする方法です。

会社の規模に応じた3つの計算方法

会社の規模を大会社、中会社、小会社の3種類に分類し、類似業種比準方式、純資産価額方式、これら2つの併用による算定方式の3つの方法によって評価額を算定します。

大会社類似業種比準方式
小会社純資産価額方式
中会社類似業種比準方式と純資産価額方式の併用

※類似業種比準方式:株を評価する会社と業種が類似している類似業種の株価を比較することによって評価する方法
※純資産価額方式:評価対象会社の純資産価額(総資産の額-総負債の額)を発行済み株式数で割って株価の算定をする方法

算定方法の詳細については、こちらの記事をご参照ください。

2.配当還元方式

配当還元方式とは、その株を所有することで受け取る過去2年間の配当金額を、10%で割戻して非上場会社の株価を求める方法です。
こちらの方式を使うケースは、会社の運営に影響が生じない規模の少数株主が相続する場合です。
配当還元方式による評価額の算出方法は、下記のような計算式となります。

配当還元価額 =(1株当たりの年間配当金※1 ÷ 10% )×(1株当たりの資本金等の額※2 ÷ 50円)

※1 年間配当金とは、会社が1年間に株主に支払う配当金の総額を発行済株式数で割ったものです。式は次のようになります。

(直前期末以前2年間の配当金額÷2)÷(直前期末の資本金額÷50)

例えば、直前期末以前2年間の配当金額が300万円、直前期末の資本金額が2,000万円の場合の1株あたりの年間配当金額を計算すると、こうなります。

1株あたりの年間配当金=(300万円÷2)÷(2,000万円÷50)=3円75銭

注意点として、その年配当金額が、2円50銭未満となる場合、または無配の場合は2円50銭で計算を行います。

※2 1株あたりの資本金等の額とは、会社の資本金を発行済株式数で割ったものです。
また、資本金等の額とは、法人が株主から拠出された金額や資本準備金などを含む金額のことになります。

具体的な計算式は、次の通りです。

1株あたりの資本金等の額=直前期末の資本金÷発行済み株式数

例えば、直前期末の資本金額が2,000万円で、発行済株式数が10,000株の場合を計算するとこうなります。

1株あたりの資本金等の額=2,000万円÷10,000株=2,000円

※1と※2で得られた値を、配当還元価額の計算式に代入することで、評価額が算出できます。

配当還元価額 =(3円75銭÷ 10% )×(2,000円÷ 50円)=1,500円

と求めたい配当還元額を計算できます。

企業の状況に応じて別の評価方法が適用されるケースもある

会社の状況によっては、配当還元方式でも、配当還元法とは別のゴードン・モデル法により算出することもあります。

ゴードン・モデル法は、企業が生み出した純利益のうち、配当金として支払われない部分(内部保留)を考慮して、株式の算定をする企業評価方法になります。
他にも、会社が開業前や休業中の状況で相続が開始された場合の株式評価の方法は、一般の上場企業などと同じにはなりません。この場合の会社の評価方法は、原則として1株あたりの純資産価額で求められます。

このように別の評価方法が適用される場合もあります。

保有株数に1株あたりの評価額を乗じ、株式全体の評価額を計算

1株あたりの評価額を算出できたら、それぞれの株式の保有数を掛けて全体の評価額を計算します。
例えば、1株あたりの価格が3,000円の株を1,000株保有していた場合は、3,000円×10,000株=300万円となります。

課税対象となる財産総額から基礎控除を行う

株式を含めたすべての課税対象となる財産の総額を算出します。
課税対象となるのは、相続や遺贈によって受け継いだ財産 、みなし相続財産 や相続時精算課税の適用を受けた贈与財産 になります。

これらの合計から借金などの負債(消極財産)があれば、それらを差し引き課税対象となる財産の総額を計算します。この財産の総額が出たら、基礎控除を行い、課税遺産総額を計算します。

基礎控除額は、「3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)」となります。

ポイントは、法定相続人の数によって相続税の基礎控除額が変わることです。「課税対象となる財産総額-基礎控除額=課税遺産総額」の計算の結果、1以上の数字となれば、相続税の申告をしなければいけません。

課税遺産総額に規定の税率を乗じて相続税額を計算する

課税遺産額を法定相続分どおりに取得したものと仮定して、課税遺産額を法定相続分で按分します。

次に按分した金額を、相続人ごとに相続税の税率を適用して、相続税額の合計を計算します。税率は、法定相続分で按分した取得額により、10%から55%の税率がかかります。ただし、15%から55%の税率がかかる場合には、控除額が存在します。詳しくは、下記表を参照ください。

法定相続分による取得額税率控除額
~1,000万円以下10%なし
1,000万円超~3,000万円以下15%50万円
3,000万円超~5,000万円以下20%200万円
5,000万円超~1億円以下30%700万円
1億円超~2億円以下40%1,700万円
2億円超~3億円以下45%2,700万円
3億円超~6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

そして、実際の遺産の取得割合に応じて、相続税総額を按分します。
最後に、基礎控除以外の税額控除が適用できれば適用して、最終的な相続税額を算出します。

今紹介した相続税の計算方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。

株式を相続した場合の相続税の計算例

前述した相続税の計算方法を使って、株式を相続した場合の相続税の計算例を紹介します。分かりやすく、株式のみを相続したものと仮定します。
条件は、以下となります。

遺産上場株式X株20,000株のみ
相続人子ども1人
相続開始日10月4日

まず、株式1株あたりの評価額を計算します。X株の株価を調べると下記のようになりました。

  1. 相続開始日(被相続人の死亡日)の終値:4,200円
  2. 相続開始月の毎日の終値の平均額:4,000円
  3. 相続開始月の前月の終値の平均額:4,500円
  4. 相続開始月の前々月の終値の平均額:4,300円

今回は、上記4つのうち最も低い金額である、2の相続開始月の毎日の終値の平均額が相続税を計算する評価額となります。

保有株数は、20,000株になるため、株式全体の評価額は
20,000株×4,000円=8,000万円

課税対象財産の総額から基礎控除を行います。
課税遺産総額=8,000万円-3,600万円(法定相続人1人の場合の基礎控除額)=4,400万円

今回は、法定相続人が子ども1人であるため、特に法定相続人で按分する必要はないので、相続時にかかる規定の税率を乗じて相続税額を計算します。
4,400万円の取得額にかかる税率は20%で、控除額は200万円となります。
式は、4,400万円×相続税の税率20% – 控除額200万円 =680万円

したがって、このケースでは、680万円の相続税の支払いが発生します。相続税の申告と納税は、相続発生から10か月以内に行う必要があります。
今回のケースでは、相続開始日が10月4日なので、相続人は8月4日までに680万円の相続税を申告・納税しなければなりません。

納税資金の確保と対策

相続税は現金での納税が原則です。相続開始から10か月以内に納税資金を準備する必要があります。場合によっては、相続した株を売却したいと思うかもしれません。

株式を売却する場合、注意しなければならないことが、売却益に対して譲渡所得税と住民税がかかることです。

譲渡所得税の税率は、所得税と住民税を合わせて一律20.315%になります。
ただし、相続した株を相続発生から3年10か月以内に売却した場合には、売却した株にかかる所得税を安くできる相続税の取得費加算の特例という制度があります。

トラブルになりやすい株式相続と弁護士の必要性

株式の相続では、金銭的価値の大きさや非上場株式の場合、経営権と密接に関係している場合がある影響から、相続人間でトラブルが発生しやすい財産でもあります。

よくあるトラブル例

  • 株式の価格が日々変化するため、評価額の妥当性を巡る対立が起きやすい
  • 株式を含め遺産分割について相続人同士の協議がまとまらない
  • 経営権や議決権の奪い合い

このような株式の相続に関するトラブルを弁護士に依頼するメリットには下記のようなことがあげられます。

1.評価額を巡るトラブルの予防と対応

株式価額の適切な評価、法律に基づいた株式の評価を行った丁寧な説明により、相続人間の納得を得やすくなります。

2.遺産分割協議書の作成・交渉

依頼された相続人の方の代理人として、弁護士が遺産分割協議を行い、公正・公平な協議を主導できるため、相続人同士のトラブルを未然に防ぐことができます。

3.株式の権利関係に関するアドバイス

議決権や譲渡制限の問題に対し、法的な観点からサポートが可能です。

4.税理士との連携による節税戦略

弁護士が窓口となり、税理士と連携して税務申告にあたって節税の精度を高めることも可能です。

複雑な株式相続を専門家のサポートでスムーズに

株式を相続すると、株価の評価、株式相続に伴う手続、相続税などの税務処理を行います。また、相続人同士のトラブルが発生した場合には、その対応などすべてにおいて専門的な知識が必要とされます。

株式は、評価方法や手続を慎重に進める必要があります。特に非上場株式は容易に換金できず、評価が難しく、さまざまな問題が生じやすいため相続人同士でのトラブルに発展することもあります。また、どういった時期にどのような方法で、株式を相続するかにより税負担が大きく変わることもあります。

そのため、株式の相続が発生した際には、税理士や弁護士などの相続に詳しい専門家に相談することをおすすめします。

株式に関する相続で、不安なことや疑問などがあれば、弁護士法人シーライトにお問い合わせください。

記事の監修弁護士

弁護士法人シーライト

代表弁護士 阿部 貴之

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