共有持ち分の解消と遺産分割を一度に解決した事例

20代

女性 神奈川県

ご依頼者神奈川県にお住まいの20代女性
相続人ご依頼者、おば
被相続人祖母(90代で他界)
被相続人との関係孫(長女)
相続財産土地建物(母屋1軒、アパート1棟)、預金、有価証券、その他
INDEX

背景

遺産分割調停をしていて、話し合いがまとまらず審判に移行していました。「審判になると自分で対応できる自信がないので、弁護士に依頼したい」とのことでお問合せいただきました。

主張

  • 紛争がこじれているので、専門家を入れて解決したい。
  • 換価しやすい財産を相続するか、現金を受け取りたい。

解決までの流れ

ご依頼後、まずはどういう分割方法にするか、ご依頼者と話し合いました。遺産は実家の土地・建物の持分、アパートの土地・建物、預貯金や株式、手元保管金で、実家の土地・建物は被相続人とご依頼者とご依頼者のお父様と相手方との共有になっていました。

ご依頼者のご要望をお伺いしたところ、「現金もしくは現金化しやすいものを相続したい」「実家とアパートを一括して売却して現金化したい」というご要望でした。相手方の要望は「実家の被相続人の持分がほしい。実家に住みたいので実家は売りたくない」「代償金は払えない」というものでした。本人同士で進めていた調停では、お互いの主張がかみ合わず平行線となっていました。

以上を踏まえ、ご依頼者のご要望を踏まえながらも、ある程度相手方の希望にも添うような分割案を検討しました。

ここで問題となったのは、実家の土地・建物です。仮に遺産分割だけを終えても、実家の共有状態は解消されないので、紛争が残ってしまいます。共有状態のままでは、例えば相手方が希望どおり実家に住み続けた場合、ご依頼者は裁判でもしないと家賃もとれず、実家持分の売却代金も手にできず、宝の持ち腐れになってしまうのです。この共有状態を解消しないと紛争の根本解決には至らないということで、多面的な解決策を検討し、遺産分割も終わるうえに共有状態も解消できる一挙両得の提案を作成しました。

調停では、相手方が代償金を払えないという理由で調停不成立になったという経緯があり、話を聞く限りでは、調停委員もうまく手続を進められておらず、当事者間の話し合いが不十分に思われました。
さらに、審判の裁判所は移送されて、調停の時とは別の裁判所になってしまっていました。移送先の裁判所へ、話し合いによる解決の余地があるため、話し合いの場を設けるよう掛け合ったところ、審判の整理手続上で事実上調停のように話し合いの場を設けてもらえることとなりました。

一般的に、審判手続は、話し合いではなく、証拠や主張書面を出していくものです。話し合いが消化不良のまま別の裁判所で審判を進めようとしても、移送先の裁判所は混乱するばかりです。今回は、説得力のある解決案を示して裁判所へ掛け合ったことで、柔軟な対応をしてもらうことができました。

共有分を解消したい気持ちはご依頼者も相手方も持っていたようですが、うまく交渉の材料にして話し合えていませんでした。

そのため、当所にて、共有物分割と遺産分割を一度に解決すべく、実家の被相続人持分のほか、ご依頼者やご依頼者のお父様の実家持分を相手方が取得し、ご依頼者がアパートと預貯金や株、手元保管金を取得し、相手方に代償金を支払うという解決案を提案いたしました。

また、ご依頼者はアパートを取得後に売却したいとのご意向でしたので、売却に備え、相手方にも費用負担をしてもらう方向で了承を取って、確定測量を裁判中に実施しました。

※不動産を売却する際には、「確定測量」で境界線を明らかにしておく必要があります。

結果

無事に調停が成立し、概ねこちらの提案どおりに解決することができました。

交渉前

0円



当事務所へ依頼後

アパート1棟、現預金や有価証券
約2000万円(遺産の取得額-支払った代償金の額)

担当弁護士の所感

この仕事をしていて気付いたのは「調停にすれば、弁護士に頼まなくても裁判所がなんとかしてくれる!」と思っている方が意外とたくさんいらっしゃるということです。

調停委員はあくまで中立な第三者で、話し合いの立会人的な存在です。誰かの味方をしてくれるわけでも、事件解決に最適な提案をしてくれるわけでもありません。したがって、この相続トラブルを解決するには、当事者自身から最適な解決策を提案するしかありません。

最適な解決策を考えていくには、専門的な知識が必要な場合が多いものですが、一般の方が頑張って調停を進めた場合、行き詰まったり、調停不成立で徒労に終わってしまったり、なんとか調停を成立したと思っても不備が見つかったりというのが往々にしてあります。

例えば、事件解決後に不動産を手放そうとして「測量をしていなかったので、相手方とまた揉めてしまった」「裁判所で決めた評価額と全く異なるかなり安い金額でしか売れない、または買い手が付かず売れないので、裁判をやりなおしたい」とご相談いただくことがあります。

調停がかなり進行している、もしくは審判に移行後だと、依頼を受けてくれる弁護士を探すのに苦労する可能性があります。調停になったら、なるべく早急に弁護士に依頼することをおすすめします。

この案件の担当弁護士

弁護士法人シーライト

代表弁護士 阿部 貴之

相続の話し合いは、ほんの些細なきっかけから揉めてしまうことが意外と多いです。そのような場面で少しでもお力になるべく、初回相談は無料とさせていただいております。

不動産トラブルに強い弁護士に相談したい! と思ったら…

お気軽にご相談ください。

\初回50分間のご相談が無料/

弁護士法人シーライト
 受付時間:平日9時~18時 | 相談時間:平日9時~21時 

※まだお問い合わせしない場合 LINE友だち 追加がおすすめ!

INDEX