遺言について

自分に万一のことがあったとき、遺産相続で家族が争うことのないように遺言書を作成しておきたいが、どうしたらよいだろう?
相続をめぐるトラブルは、遺言を残しておくことで避けられる場合もあります。そのためにも適切な手続によって、適切な内容の遺言を残しましょう。

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遺言書で子や孫にメッセージを残せます

遺言書というと、どうしても遺産の分け方に注目しがちです。
相続財産(遺産)を誰に相続させるのか、何をどれくらい相続させるのかに関心が集まるのは、現在の相続制度が家督相続ではなく、財産相続であるから当然のことといえます。
あまり知られていませんが「付言事項」を用いることで、遺言(書)の内容をどのような気持ちで決めたのかを率直に伝えることができます。「長男に不動産を相続させるのは、こういう意図がある」「夫が亡くなった時に次男は『俺の相続額を増やしてほしい』など、他の相続人に対して利己的に振る舞い、母として次男の振る舞いを大変恥ずかしく思っている。私の相続では、遺留分を侵害しない程度で次男に相続財産を残したいと思い…」「孫の◯◯には、先祖代々の家業である医者になって、地域医療に貢献してほしい」などです。
付言事項に法的な効力はないのですが、このような遺言を残すことで、あなただけの思いを伝える相続にすることができます。

遺言書と法律

相続法(民法第五編)は、遺言がない場合や遺留分減殺されている場合などに適用されます。すなわち、遺言がない場合や遺言の一部が否定された場合などに、相続法が適用されます。(※ただし、相続法の適用は、遺言がない場合や遺留分減殺されている場合に限定されるものではありません。たとえ、遺言があった場合でも適用されることがあります)
いろいろな家族観や相続観があるなかで、法律で相続についてのルール決めをしてしまうと、やや伝統的で画一的、杓子定規にならざるをえず、遺言を書く側(財産を残す方)の意見や人生観と法律が定める遺産の分け方などが異なることもあるかと思います。そのようなときは、遺言書を書くことをおすすめいたします。

遺言と相続法改正

相続法改正により、2019(平成31)年1月13日以降に作成した自筆証書遺言の財産目録部分に関しては、自筆でなくてもパソコンなどによる作成も認められるようになりました。
しかし、自筆証書遺言には保管がずさんだと滅失してしまう、遺族が発見しにくい、廃棄されたり変造されたり、相続人が偽物だと主張できてしまうおそれもあります。また自筆証書遺言には、家庭裁判所の検認が必要で、手続きに3ヶ月くらいかかるなどスピーディーな遺言執行には程遠い状況にあります。

確かに、自筆証書遺言を法務局が保管するサービス(遺言書保管法)が2020(令和2)年2月から始まり、このサービスを利用すると検認が不要になります。しかし、相続人が遺言を閲覧するためには、本人確認の意味を兼ねて、被相続人の出生から死亡までの戸籍を取り寄せる必要があり、依然としてスピーディーな遺言執行ができるとは言いがたいです。

遺言書を書く際の注意点

遺言書を書くにあたり、注意するべきポイントがいくつかあります。

1.遺留分侵害をしないように調整してください。

2.財産目録を作りましょう。

3.遺言執行者を決めておきましょう。

遺言は公正証書遺言で

遺言は、普通方式遺言特別方式遺言に大きく分けられ、普通方式遺言の中でも、さらに、自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言の3種に分類されています。

その中でも、注目されているのが公正証書遺言です。公正証書遺言は、費用がかかるものの、元裁判官や元検察官などの公証人が作成しますし、保管も公証役場が行います。
公証人というのは、国から給与や補助金など一切の金銭的給付を受けず、国が定めた手数料収入によって事務を運営している手数料制の公務員です。公証人が執務する事務所が公証役場です。

公証役場では法律相談はできないものの、法律に基づいて遺言の内容に問題がないかを確認してもらうことはできます。遺言書の案が決まりましたら、公証役場にお問い合わせください。

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